本文へスキップ

切子工房 箴光は、伝統的な江戸切子の技術を継承した独立切子士が製作する切子の工房です。

ショッピングカート

たい焼き屋の経営について

たい焼き屋の経営について

切子工房 箴光職人の気まぐれ日記>たい焼き屋の経営について

2022年3月6日
先日、わが町に新規のたい焼き屋さんがオープンしました。

初日は10人以上が並んでいました。

1か月以上も前から店舗の準備を進めていたのを見ていました。


2日目の18時くらいにも行きましたが、5人くらいの人が並んでいました。

常に人が途切れていないのならばすごいことです。

たい焼き屋さんの前はタピオカミルクティー屋(?)でした。

タピオカ屋さんはほとんど人が購入しているのを見たことが無いわりには数か月お店を構えていたという印象で、赤字も膨れたのではないかと思っています。


今回のたい焼き屋もフランチャイズか何かで始めた人がオープンの目新しさの一過性の売上で撤退していくのかと思うと、仕事中にたい焼き屋のことが気になって仕方が無くなってしまいました。

そこで、今後、そういう飲食を経営している人と話す場面も出てくるだろうということで、ビジネスのお勉強も含めて調査しにいきました。


結論からいうと、たいやき屋はハイリスクハイリターンの世界ということがわかりました。
うまくいけば十分な利益が出て儲かることができると思います。
その結論に至るまでを机上論で長々説明していきます。


ちなみに私は切子職人というガラスの表面をカットして模様付けをするという仕事で独立しておりますが、飲食系の店を経営したことも無い素人なので、机上の空論をこれから並べて偉そうに語りますが、人としては下の下の存在なので、ご容赦ください。

※日商簿記1級は持ってますが、机上論と実際に運営している人では天と地の差があるので机上論で語るのをお許し下さい。


ちなみに私はこういう美術品のグラスを作る仕事で独立しています。
切子、江戸切子、ロックグラス、コップ、箴光式籠目天開ロックグラス、八角籠目、菊籠目
切子(きりこ:カットグラスの和名)について、もし知らなければきっと面白い世界だと思いますので、のちほどホームページ内をご覧ください。



お店について
「鳴門なんとか本舗」さんという浅草にある昔からあるお店の直営のお店だそうで、借金を抱えて脱サラを目指すフランチャイズの店ではないようなのでホッとしました。
白いたい焼き屋のようにブームが去って不幸になる人はいなさそうです。

全国に50店舗くらい展開しているみたいです。



金額的な面
たい焼き1個230円くらいです。
調べてみると、白いたい焼き屋が1個120円だったらしいので約2倍の値段です。

原価は白いたい焼き屋が90円だったという話もありますが、それベースで考えると170円くらいが原価でしょうか。
原価率が75%なので、これは材料費だけではなく、労務費、経費含めた原価かと思います。

飲食の世界では材料費を20%くらいにしろというものがあるので、貢献利益ベースで物事を考えたいので、材料費として20%の46円と設定してみます。

実際に買って食べてみましたが、皮が薄皮で、餡がギュッと詰まっている感じでした。
焼き器の焦げの風味というか香ばしさが個人的には良かったです。

かなり薄皮で、しっぽの端まで餡がたっぷり入ってました。
鳴門金時を食べました。


たい焼きは餡の原価を下げることが重要というのを見たのですが、皮の比率が少なく、餡に比率が寄っているのでこれはもしかしたら、材料費46円では到底済んでいないのかもしれません。

材料費は50%くらいで見ておきましょう。
直接材料費は115円と仮定します。

売上1個230円-1個材料費115円=貢献利益115円

貢献利益115円で固定費を回収できるかどうかを考えていきます。

私がお店に並んだときは5人のお客さんが私の前に居ましたが、お客さん1人を安定して1分でさばいていました。

目の前の人が4個くらい買っていたので、平均1人2個くらい買うと想定して1人あたり230円の貢献利益が出るとします。

たい焼きの焼き器は12本くらいあるように見えました。
左から順においていき、一番右に来た12個目の焼き器の中身を確認して取り出していました。
1個1分くらいのローテーションで焼いていたようにみえました。

焼きあがったものを保温しておくところにもたい焼きが20個ほど保温されていたので、供給不足になることは無さそうでした。

1日目も2日目も常にお客が並んでいたので、60分×230円=時給13,800円くらいを想定出来そうです。
販売個数で言うと、1分で2個×60分=1時間120個の販売です。

8時間で960個の販売と考えるとにわかに信じがたいですが、現地の実績ベースで考えるとそういう数値になっています。

店員さんはなんと7名も居たので、1人時給1000円で働いているとすると、
13,800円-7,000円=時給6,800円くらいになると想定します。

お店の営業が8時間とすると、1日で54,400円の貢献利益、30日間で1,632,000円の利益です。


そこから家賃、ガス代、電気代、水道代などの固定費をもろもろ差し引いても1か月140万円くらいの税引前純利益は出るのではないでしょうか。


店長の初任給を28万円以上で募集しているので、さらに差し引いても112万円くらいのお金が入ってくる計算です。

あくまでもこれはオープン初日のような行列が1か月続いた机上論の数値です。


このペースで購入者が続けば何の問題もありませんが、実際にはオープンした店には多くの人が集まりますので、そこでいかにリピート客を作るかが勝負の分かれ目になりそうです。


特に平日にも買いにきてくれる周辺住人に受け入れられるかどうかがこのたい焼き屋さんの命運を分けるかと思います。

周辺には高層マンションが建設を終えた頃で、リッチな人達が多く住んでいると思いますので、販売価格230円でも値段によって販売数が大きく減ることはないのかなと思います。

どちらかと言えば、値段の高さより、質が落ちることによりお客が減る懸念の方が大きいのかもしれません。
クオリティが良ければ少々高くても周辺住人には受け入れられるのかなぁと思います。


たい焼き屋さんの本当近くに業務用スーパーという異常に安いスーパーがありますので値段の安さで勝負すると、 そっちのスーパーでアイスとかの甘味系を買った方が断然安いです。
安さでは競合になりうるので、方針としてはクオリティ高めのもので勝負するのは間違ってないかと思います。




損益分岐について考えたいと思います。
固定費が不明確なので、明確な損益分岐点を求めることはできませんが、なんとなくこれくらいかなというものを想定したいと思います。

1人あたり230円の貢献利益で1時間に仮に15人に売れたとします。
落ち着いてきたら1時間15人くらいの販売が現実的な数値な気もします。

230円×15人=3450円

店員さんも2人くらいで大丈夫かと思いますので、3450円-時給2000円=1450円

1時間あたりお店の貢献利益は1450円です。
1450円×8時間×30日=月間貢献利益348,000円です。

そこから家賃などの固定費を差し引いても10万円くらいのプラスの利益。
さらにここから店長の固定給28万円をマイナスすると、赤字になります。


なので、店長の固定給も考慮すると、実際は1時間20人くらい、1日160人くらいの販売が損益分岐で、その当たりを目安にしているのかもしれません。

月間の貢献利益が624000円
家賃が10万
水道光熱費などが10万円
店長の給料が28万
最終の税引前純利益が144000円

これが目安になるかと思います。


今後は、このたい焼き屋さんの前を通るたびに「1時間に20人くらいの人は来てるかな?」という目線で見ようかと思っています。



ちなみに店長の給料28万円は月間のみなし残業と書いてありました。

例えば「1か月の残業は40時間を想定するから、その金額をすでに給料に盛り込んでるからそれ以上の残業代は出ないよ」というシステムです。

このみなし残業というシステムは労働基準法にきちんとしるされているので、法的には問題はありませんが、いくら働いても残業代がそれ以上出ないので激務の仕事に摘要されがちなシステムです。

1日勤務8時間の他にめちゃくちゃ大量の仕事が待っていると思います。



総括
切子の世界に比べると、飲食系のお店というのはかなりの利益が出るんだなぁという印象を受けました。

私自身は好きなことを仕事に出来ているので、これ以上の幸せはありませんが、業種によって利益の幅が結構違うことを認識しました。

お金の面だけでみると、時間をかけて切子を製作しているのがバカらしくなるくらい、利益が出るんだなぁと思いました。

しかし、飲食系のお店は「食」の要素に関わる全ての店と競合になりうるので、非常に激戦区かと思います。

美味しいものが作れれば誰でも食に参入してきますので、食での起業は脱サラの第一候補にもなっているかと思いますので、なかなかのレッドオーシャンです。

ラーメン屋で脱サラ、キッチンカーで脱サラなどよく聞く話です。



飲食経営というのは超ハイリスク超ハイリターンの分野なんだなぁということを今回考察してみて感じたので、今後の人生において飲食経営の人にはより敬意をもって会話できればと思いました。



それでは!


職人の気まぐれ日記」に戻る。

shop info店舗情報

切子工房 箴光

〒359-1128
埼玉県所沢市金山町11-11
E-mail:kirikoshinkou@yahoo.co.jp
インボイス制度登録事業者


お問い合わせのご返信について
・基本的には土日祝日をのぞく、8:00~17:00の時間にてご返信させて頂きます。
お客様にご心配をおかけする事項だと判断した場合は、上記時間帯以外でも取り急ぎ早急にご返信する場合もございます。

・公式ホームページ
・amazon
・ヤフーショッピング
・minne
・creema

でオンラインで販売しております。

普段使い慣れているショッピングサイトがあれば、そちらを利用頂いても構いません。

現在、関東圏内にも製品を出荷しているので、ショッピングモール等の店頭でも当工房の製品を購入できます。

支払方法
銀行振込とクレジットカード決済とコンビニ払いが可能です。
支払い方法の詳細は「」をご覧ください。

・クレジットカード決済
ご利用可能なクレジットカード
支払方法
お支払い方法は「一括払い」「リボ払い」「分割払い」からお選びできます。

・セキュリティコード(券面認証)について 「セキュリティコード」の入力が必要となります。カードの署名欄の隅に印字された3ケタ(または4ケタ)の数字となります。
支払方法2


・コンビニ払い
コンビニ払い可能、切子
全国の
・ローソン
・ファミリマート
・ミニストップ
・セイコーマート
でお支払い可能です。


切子工房 箴光のSNS
フォローして最新情報をチェック!
インスタグラムがメインで、フォロワーもそこそこ多いです。
インスタグラム
インスタグラムQRコード

ツイッター

フェイスブック