前半:切子の取り扱い方(壊さない注意点) 後半:切子にはどういう使い方、楽しみ方があるか |
・熱湯不可 ・電子レンジ不可 ・食洗器不可 |
・お湯割り、熱湯、割れる温度 ・電子レンジの温度は120℃ ・食器洗い機で傷がつく ・お手入れ、水垢や茶渋 ・職人直伝!割れない持ち運び方 ・値段が高いと怖くて使えない現象 ・切子の使用場面 |
・どのような切子の使い方ができるか? ・どのように切子を楽しめるか? |
切子に熱湯を注ぐ検証みなさんの代わりに生産者としてリスクを負うべきです。 実際に切子に熱湯を注いだ検証動画もyoutubeにご用意いたしましたが、結果を言うと「100°の熱湯を注いでも割れなかった」という結果になりました。 今回検証した時は割れなかっただけで、条件によっては割れたりすると思います。 切子の基本的な取り扱い方的には100°の熱湯を注ぐことはしないように注意してください。 熱湯を注いだ動画は当工房の伝統的な江戸切子の手法で製作した切子です。 他にも薩摩切子などの切子の種類を問わずに熱湯を注ぐと割れる可能性が高いので注意しておいてください。 |
切子が熱で割れる原理ガラスは内側と外側の熱量の違いによってガラスが膨張して体積差で割れます。 牛乳瓶のような厚みのある一見強固そうなガラスは内側から外側まで熱が伝わる速度が遅く、実は逆に熱に弱く割れやすいです。 江戸切子で耐えられても、厚みのある薩摩切子では割れてしまったということも起こりうるので、注意してください。 左の江戸切子よりも右の薩摩切子の方が、飲み口の厚みがあります。 製法上、薩摩切子はガラス2個分の厚みがあり、江戸切子との違いでもあります。 ゆえに江戸切子の方が熱に比較的強いという状態です。 |
切子の素材ごとの耐久性クリスタルガラスも製法上、通常のソーダガラスよりかなりの厚みを出して作ります。 クリスタルガラスの江戸切子を使用する際も普通の江戸切子よりも熱に弱いデメリットがあります。 またクリスタルガラスは人体や環境に悪影響を及ぼすことが近年わかって、世界的に使用を制限、縮小している鉛(なまり)の成分を含んだ製品です。 EUでは電子機器に鉛を含む有害金属を使わないという「RoHS指令(ローズしれい)」をもう2003年からずっと続けています。 最近よく聞く国連サミットで採択された地球環境を守るための取り組みを含めた「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という決まり事にもクリスタルガラスは沿いません。 当工房では
当工房のように意図的に「ソーダガラスを使用している」とホームページ内に表記する工房も徐々に増えているように感じます。 写真付きで、クリスタルガラスの方が割れやすいと結論付けた経験も載せているので、詳しく解説した「ソーダガラスとクリスタルガラスについて」のページもご参照下さい。 |
電子レンジに切子はダメ!電子レンジで熱すると部分的にガラスは120℃を越える部分もあり、簡単に割れてしまいます。 熱湯を注ぐよりも遥かに高い熱を持つことになります。 JISという日本の規格によって電子レンジで耐えられる温度は140℃以上とされており、通常のガラスの耐熱は到底140℃には及びません。 これは江戸切子や薩摩切子などの切子の種類を問わずに電子レンジで割れるので注意しておいてください。 熱湯を注いだ場合と同じで、ガラスの内部で熱を持った部分と熱を持っていない部分が発生し、ガラスが体積の膨張差で割れてしまうという原理です。 |
耐熱ガラスの切子もある耐熱ガラス製品は最大300℃ほどまで耐えられ、通常のガラスとは比べものにならないほど熱に強いです。 切子製品の中にも耐熱ガラスのものが存在します。 職人的な立場から言うと、耐熱ガラスの素材の値段の高さと、加工が圧倒的にしにくく工数がかかり、高価になりがちで売れにくいです。 カットの時間も磨く時間も経験上、大体2倍になるので、同じデザインでも2倍の値段くらいになります。 その結果、生産している工房もそんなに多くはないと思います。 ※当工房では生産を検討中です。 耐熱ガラス製品の場合、「この切子は耐熱ガラスとなっております」という表記があるかと思います。 耐熱ガラス製品を電子レンジで使用したりできる場面もあるので「ガラスって電子レンジ使えなかったっけ?」と錯覚するかと思います。 うっかり通常のガラスの切子を電子レンジに使わないように注意してください。 |
食洗器のお湯の温度食洗器、食器洗い機に使用されるお湯は大体90℃くらいのものが使用されたりしています。 食器洗い機の説明書などにも書いてあるとは思いますが、90℃の温度ではガラス製品は割れてしまう可能性があり、使用しないで下さいと記載されているはずです。 |
注意書きに切子が指定切子製品、カットガラスをピンポイントで指定して使用しないで下さいと説明書に書かれている実際の例があるので画像で紹介します。 過去に切子製品が割れたトラブルがあったからだと思われます。 実際に家電メーカーのホームページの食洗器の使い方のところにカットグラスに使用しないで下さいと注意書きがあります。 温度だけでなく、結構な水圧で洗いますので、他の食器とぶつかってひっかき傷などがつく可能性もあります。 切子を洗う時は食器洗い機、食洗器の使用を避けて頂ければと思います。 |
当工房の切子の洗い方当工房の切子は全て手磨きによって製造しております。 表面のガラスの強度は高く、タワシでゴシゴシ洗っても大丈夫です。 製作時にも磨き終わった切子を最後洗う際に実際にタワシを使って洗っています。 やわらかいスポンジは一切使っておりません。 私も自作の「底合わせ四つ矢来タンブラー」を10年以上使用しております。 底合わせ四つ矢来タンブラー どこも欠けず、傷もついておりませんので耐久性については他のガラス製品同様に問題ないかと思います。 普段は他の食器と同じくスポンジで洗っていても、汚れが酷い時はタワシを使用してみて下さい。 |
一般的な切子の洗い方一般的に販売されている江戸切子、薩摩切子などの切子製品は「やらわかいスポンジで優しく洗って下さい」と表記があるかと思います。 その場合、酸磨きの切子かもしれません。 磨きの方法に酸磨きを選択している切子の場合、ガラスの表面の硬度が落ちています。 たわしで洗うとひっかき傷がついたり色が落ちたりする現象が発生する可能性があります。 当工房の切子と同じようにタワシで洗わないように注意して下さい。 酸磨きでは硫酸等の劇薬を使います。 完全に中和しきれずに周辺環境に有害な影響を及ぼす可能性があります。 地球環境を考慮する点でも当工房は手磨きを行っております。 どういう製品を選択するかは私達の自由ですし、色んな製法があっていいと思います。 しかし、同じような切子に見えても
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水垢や茶渋がついた場合洗った後に乾かさないでいるとカット面に水垢がついて光沢の質が落ちる場合があるので洗った後はしっかり拭いてください。 それでも切子を使用しているとグラスの内部に水垢や茶渋がついて光沢感が落ちて見えてくる場合があります。 水垢や茶渋はグラスにかなり強固に表面にくっついていますので、洗剤でスポンジで洗った程度では絶対落ちません。 ポイントとしては「グラスの内部」であるということです。 私も初心者の頃はグラスの外側を一生懸命洗っていましたが、光沢感が落ちて見える場合は概ねグラスの内部の水垢や茶渋が原因かと思います。 水垢や茶渋がついた際の取り方は各々の家庭でやっている方法があると思うので、他のガラス製品同様に行って下さい。 一般的には重曹を使います。 重曹で水垢と茶渋を落とす方法
全く推奨はしませんが、私は傷がつかないように力を加減しながらスプーンの先端でグラス内部の表面の水垢や茶渋を削っています。 グラスの内部を目視しても水垢がついているように見えないかもしれません。 しかし、スプーンの先端で削ってみると、黒丸で囲んだような水垢やら茶渋やらが削り取れます。 スプーンの先端で削らないといけないくらい強固にグラスについております。 スポンジで洗っただけでは取れないことは想像できるかと思います。 |
職人直伝の持ち運び方私も江戸切子職人見習いの頃は1ヶ月に1個くらい落として割ってしまって怒られました。 1日に3個落とした不運の時もあってさすがにその時は「もう迷惑はかけられないので、次落としたら工房を退職しよう」と自分の中のルールで決めました。 落とす時は必ず原因があります。 それは「急いでいる時」です。 急いでいてパッと切子を手で持つと手が滑って落とす確率が劇的に高くなります。 時間が無い時はついつい急いでしまいがちです。 切子を持つ時だけはほんの一瞬だけゆっくり持つ意識をするだけで落とす確率は激減します。 一瞬だけゆっくりもつ意識をしてからは年間通して1個も江戸切子を落とさなくなりました。 自分で決めたルールでしたが、工房を退職せずに済みました。 ぜひ覚えておいて頂けたらと思います。 |
職人直伝の切子の置き方 グラスを置く時は底の角から小指を少し出して、小指をテーブルなどに先に当ててからゆっくりと置くと切子に衝撃を与えなくてよいかと思います。 特に購入前の切子製品などを手でもった後に置く時はこの置き方をやると安全かもしれません。 あと袖口が手前の製品に引っかかって割ってしまったお客さんの場面を何回か見てますので、袖口も注意しておきましょう。 (私は左手を手首に添えて袖口を押さえて右手で切子製品を手に取る場合が多いです) テーブルに置く際に勢いよく「コン!」という音をたてながら置く人もいらっしゃいますが、切子職人の私からするとその音を聞くとヒヤッとします。 私は江戸切子の工房の修業時代に自然にこの置き方をするようになりましたが、茶道でもこういう置き方をするようで、日本の文化、日本人の気質として通ずるものがあるなぁと感じています。 |
・口当たりの良さ ・持ち心地の良さ ・見た目の美しさ |
1.普段使いのコップ一番普通で多くの場合はこれになると思います。 普段使いのコップなどに使用して、毎日を少し楽しくするものとして利用してみてはいかがでしょうか。 ※写真は友人が家に来た時に、趣味であるボードゲームをしている時に切子でおもてなししました。 |
2.記念日にのみ使用あえて記念日の時にのみ使用するという方法もあります。 特別な日を演出するのに最適です。 普段は使わないからこそ、たまに使った時の特別感を感じることができます。 |
3.キャンプで使用キャンプに持っていって、たき火を見ながらウイスキーを切子で飲んだりするのも粋です。 実際にそうやって切子を使っているという話をキャンプ好きの友人が言っておりましたので、なるほど良いなぁと勉強になりました。 |
4.マイグラスとして使用行きつけのバーに切子をもっていき、マイグラスとしてカクテルを作ってもらったりして使用してみても面白いと思います。 切子と共にバーのゆったりとした空気間や雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。 写真は行きつけのバーにぐいのみととっくりを切子を持参して使用した時のもの。 SNSに写真をアップしましたが、驚くくらいのいいね!がつきました。 ぐいのみ・最高峰 |
5.美術品のように飾る切子はアート作品の用にオブジェとしても十分使用できます。 家の棚に飾っておくだけで良い雰囲気作りが可能です。 また何か経営されている方など、お店に切子を飾っておくだけで、グッとお店の格式が高くなり、お店のブランドの力を上げます。 使用せずともお客様の目の届くところの棚などにディスプレイしておくだけで、お店のブランドイメージアップに効果を発揮します。 お店の宣伝の写真に切子を使用するなどの広告のブランディングに使用される方もいます。 それゆえに、販売の傾向として多めなのが、何かを経営している人からの注文です。 特に飲食店からの購入が多いように感じます。 感じが良いお店は口コミで噂が広がりやすいかと思います。 【100作記念作品】remember |
1.長寿を祝い贈る60歳になると還暦(かんれき)というのはみなさんよく聞く言葉だとは思いますが、その後も長寿を祝う年齢というのがあります。
切子の伝統的な菊繋ぎ、亀甲などの文様には長寿を祝福する意味が込められている縁起の良い文様もございます。 節目節目に長寿を祝う贈り物として文様のストーリー付きで贈るのも粋かもしれません。 私も両親の古希(こき:70歳)に両親のための特別なロックグラスの切子をプレゼントしました。 父親は泣いていたように見えました。 この特別な型も製品ラインナップに入りましたので、ご検討下さい。 乱れ多文様ロックグラス |
2.家族や親族に贈る家族や親族の大きな節目に気持ちとして切子を贈るのも比較的一般的だと思います。 以下に少し列挙してみましたが、こういった人生の節目となるような出来事も多いかと思います。
当工房の実績ですが、実際に結婚祝いにご購入される方も多めです。 |
3.お世話になった方に贈る仕事や学問でお世話になった目上の方に贈るのも良いかと思います。 私は過去に
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1.小料理の器に使うお通しのような小料理の器として使用したり、ねぎなどの薬味を入れる容器としていくつか並べて出してもきれいで面白いかと思います。 上の写真は和歌山に旅行した際に、日本料理のお店で器として出てきたものです。 普段から見慣れてるはずの私でさえ「切子を使ってくれた!」というお店の心意気の部分がすごく嬉しくて思わず写真を撮ってしまいました。 |
2.デザートの器に使う寸胴型のロックグラスは容量も多く、器に使用しやすいと言えます。 一風変わった器で客人をもてなせば、きっと喜んでもらえるかと思います。 写真は平透かし菊繋ぎロックグラスを使って、チョコナッツ豆乳アイスフロートを作った時の写真です。 平透かし菊繋ぎロックグラス |
3.ソース入れに使うショットグラスをドレッシングやハンバーグのソース入れとして使用するのも粋で面白いかと思います。 サイズもちょうど良いくらいかと思います。 |
4.スティック状の物に使う野菜スティックみたいなものから棒状のお菓子などをタンブラーやフルートシャンパングラスに入れて出すのも良いかと思います。 特にフルートシャンパングラスは見栄えがとても良くなるので客人をもてなす際におすすめです。 パーティで使用すれば華やかにその場を彩ります。 |
5.写真撮影に使う上の写真は「都市の夕焼け」をテーマに実際に池袋の公園で撮影してきた写真です。 なかなか素敵な写真ではないでしょうか。 何かの写真を撮影する際に、切子が置いてあるとグッと格式の高さ、ブランドが増します。 例えば、SNSにインスタやツイッターで料理の写真を載せる際に切子を一緒に撮影するだけでグッと注目を集められるかと思います。 行きつけのバーのマスターに当工房の最高峰のロックグラスをご購入頂きました。 このグラスを最初に使うお客さんは製作者である私にしたいということで、柳陰という貴重なお酒を封切にご馳走して頂きました。 その時の写真ですが、これをSNSにアップしたところ、他の投稿には見られない驚くほどのいいね!がつきました。 【傑作】メタモルフォーシスロックグラス ちなみに他の工房やご年配の切子作家の場合、SNSなど公の場に写真を上げることを制限しているところもありますので確認が必要な場合もあります。 当工房の作品はご自由にご使用ください。 |
本当に良い物をプレゼントすることで贈られる側だけでなく、贈る側も相手への気持ちの本気度を表現出来たと感じてとても幸せな気持ちになります。 また大量生産品ではなく職人が1個1個作っていることや、知名度は抜群ではないですが、本当に良い物をあなたが色々探してきてくれた背景も含めて贈られる側は喜んでくれるかと思います。 双方の人生の良い思い出になると思うので、一度じっくり観察して検討してみてください。 製品一覧 |
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