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切子工房 箴光は、伝統的な江戸切子の技術を継承した独立切子士が製作する切子の工房です。

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切子が割れたり欠けたりした時の事情

切子、江戸切子が割れたり欠けたりした時の職人事情

切子工房 箴光独立切子士の好奇心備忘録>切子、江戸切子が割れたり欠けたりした時の職人事情

大切にしている切子や江戸切子が、万が一割れたり欠けたりしてしまったらどうすればよいのでしょうか。

先に少し結論を書きますが、当工房ではグラスが欠けた時の修理は行っておりません。


グラスが欠けた方の気持ちを考えると、心苦しく、恐縮です。



このページでは切子や、江戸切子が割れたり、欠けたりした時の職人事情について裏話的な感じのことをお話したいと思います。


ちなみに私は自作の切子を全く壊れずに10年以上同じものを使っています








執筆した切子職人の自己紹介

公益社団法人日本工芸会所属の独立切子士である斉藤光。彼の言葉で切子(江戸切子)の本物と偽物の見分け方を直接専門家の視点で解説します。

切子工房 箴光(しんこう)を代表します独立切子士の斉藤光(さいとうこう)と申します。


江戸切子の工房で修行してから独立し、「公益社団法人 日本工芸会」という人間国宝の先生が所属する団体に、正会員2名に推薦を受けて所属しております。


営業担当や外注して記事を書くライターではなく、このホームページ自体を切子職人である私自身がプログラミングして文字を入力しております。






結論から言うと「口元の欠けなどを直してくれる工房はとても少ない」です。



当工房含めてどこの工房も直す技術はありますが、修理を受け付けていない工房がほとんどだと思います。



切子や江戸切子はソーダガラス製のものは普通のガラス食器くらいの耐久性ですが、美しさ重視で
クリスタルガラスで製作している工房のものは比較的割れやすいと思います。



からくりとしては、美しいから消費者はよくわからず金額の高い美しいクリスタルガラス製を選ぶ、そして割れやすいので再購入をするサイクルが早いので、利益が出るというような構造になっています。



利益を出しやすい構造にすることによって先細りの伝統工芸の世界がギリギリ存続しているのなら、それも1つの経営手法です。



私の場合、人の不幸では絶対に飯を食わないと決めているので、比較的耐久性が高く、長く使ってもらえるようにソーダガラス製の切子を製作しています。





当工房の作品です。

熟練の切子職人が伝統的な江戸切子の技術を駆使し、贈り物やプレゼントにも最適な美しいガラス作品を一つひとつ丁寧に製作しています。

全てソーダガラス製にて購入者に長く使用して頂こうと考えております。





また、普通のガラスと同等くらいの耐久性なので「あれ?お湯割りとか出来たっけ?」と勘違いしてお湯を注いで割れてしまうミスをする人も居るかもしれません。



耐熱ガラスでは無いので、お湯を注ぐと割れてしまうので、どこの工房も取り扱いの説明にお湯を注がないでくださいと注意喚起していると思います。






私は年間1000個以上の切子をカットをする年もあります。


しかし、慣れているとはいえ、プロとして仕事をしてから毎年1個くらい作業中に切子を割っているような気がします。


高速で回転している加工機械にガラスを当てて加工します。


変な引っ掛かり方をして吹き飛ぶ時が稀にあり、その場合、割れてしまうことがあります。




口元が欠けるなどの軽微なものなら手直しをします。


私の場合だと口元を輪切りにしてすっぽり除去して、かけた部分を取り除いて再利用とかします。(写真左)
※クリスタルガラスは非常に繊細で割れやすいため、加工には細心の注意が必要です。

上の写真は知人のBARのマスターの依頼で右のクリスタルガラス製のグラスの口元のチップを取り除いてほしいということで、いつもと同じ作業をしたのですが、割れてしまった時の写真です。



同じガラスなので何の問題も無いと思って作業をしました。


しかし、ソーダガラスとクリスタルガラスの素材の違いによってソーダガラスでは考えられないような中央部までいきなり亀裂が入って「バリーン!」と大きな音を出して変な割れ方をしました。


ソーダガラスでは絶対にそんな割れ方はしません。





割れてしまった何気ないクリスタルガラスのグラスは、マスターが一緒に働いていた同僚がお店を離れる際に頂いた思い出の品だったそうです。


マスターには本当に悪いことをしてしまい、自分を強く責めました。


これ以来、確実に直せる保証は無いので私は人からの修理を受けないことにしました。

(なお割れたグラスを加工して小皿にしてマスターに渡しました)






多分、色々な切子の工房を探しても口元が欠けた時の修理というのはどこもほとんどやっていないと思います。


修理をやっている工房は、かなりのリスクを負って善意でやってると考えられます。




修理をやらない理由は3点あります。

・依頼者にとっての思い出の品を絶対に破損させられない

・修理の工数もそれなりにかかるので、1から作った方が早い場合もある

・口元の欠けを直す専用の大型の機械が無い

あたりの理由があります。






思い出の品を絶対に破損させられない



ほとんどの工房が修理をやらない一番の理由が多分これです。


何気ない普通のグラスでも、思い出と共にその人の手元に存在しています。

・還暦で退職した時に部下からもらったグラス

・部下が新しい世界に羽ばたく時にもらった節目のグラス

・これから何年も会えないことがわかっている相手からもらったグラス

・自分の子供がずっと愛用していたグラス

・成人した孫からもらった特別なグラス

上の状況は逆の場合でもしかりです。




美しい切子は物自体の美しさだけでなく、美しい思い出と共にその人に寄り添っている可能性が高いです。

切子工房箴光で製作された江戸切子の技術で製作された切子のグラス作品と職人の技術

切子のグラスをくれた人のことを思い出して、希望や勇気をもらって生きることもあるでしょう。





その特別な思い出は私たち切子職人には知りえません。


グラスがいくら普通のコップに見えたとしてもその裏にどういうストーリーが隠れているのか想像して、最大限の注意を払わないといけません。


なので、基本的には一度購入されて誰かの所有物になった切子や江戸切子には職人は手が出せないというような気持ちがあるのではないかと思います。


少なくとも私はそうです。






割れた切子を修理するのは工数がかかる



口元の欠けを直すのにも結構それなりに時間がかかります。


特に超大手以外の工房以外は口元を直す大型の機械を保有しておりませんので、工数はそれなりにかかります。




安価な切子や江戸切子の場合は1から作った方が早い場合もあります。


また、口元の一部を直すだけなのに安価な切子1個分の値段を請求されたら納得が行かない依頼者も出てくると予測されます。


「口元の一部分だけなのに、安価な切子1個分の値段なんておかしくない?」

というような感じです。




WINWINならぬ、LOSELOSEの状況が起こりやすいので、それだったら最初からやらない方がトラブルは起きないという考えに至ります。






切子を修理する大型の機械が無い



切子の口元の欠けを直すには、専用の大型の機械が存在します。


小型の機械があるかもわかりませんが、私は見たことはありません。




縦2m×横2m×奥行き4mくらいの大型の機械です。


私も修業時代にその機械があり、口元修理をその機械で師匠がやっていましたが、大きすぎて場所が無いのと、口元修理のリスクもあるから機械を廃棄することになって解体されました。




今でもその機械を保有している会社はかなりの超大手の工房だけだと思います。


その機械があれば比較的早く口元を直せて、仕上がりも綺麗です。




なので、その機械が無い工房はあまりやりたがらない傾向があると思います。



感覚的には縫い物をミシンでやるか手作業でやるかくらいの感覚です。



口元の欠けた場合、切子工房が修理を受け付けない理由の裏話的なところを3点紹介しました。


次は完全に割れた場合、切子職人的にはどうするか紹介します。






切子が完全に割れた場合



高価格帯のものは完成まじかの最後らへんに割れる可能性の高い作業が私の場合は、入ります。


どんなに気をつけていても、切子や江戸切子が完全に割れてしまう瞬間があります。

何時間もかけて作ってきて、最後あと10分で完成のところで割れました。


現時点でのぐいのみの一番高価な作品です。



私は普段温厚ですが、この何時間もかけて作ったものが完成まじかで割れた時だけ大声で叫びます。

叫ばないと正気を保てません。


体感ですが、スマホを水の中に落としてすべてのデータが消えたくらいのストレスがあります。




ちなみに防塵マスク(毒ガスを防ぐような声がこもるマスク)をしていて、防音の部屋で作業しているので、外には全く聞こえていない状態で叫んでいるので大丈夫です。




ここまで粉砕すると直しようがありません。

この場合は危ないので捨てるのが基本です。




ただ、以前に粉砕したかけらを加工して私はペンダントを作りました。

割れてしまった江戸切子のガラス破片をペンダントに加工しました。

しかし、製作にこれもまた多くの時間がかかるので、積極的には作ろうとは考えていません。



クラウドファンディングを社会勉強だと思ってやった時の特別なリターンとしてペンダントを出して以来製作していません。


まあいずれやるかもしれないということで、割れたかけらは捨てないで棚に一応おいてあります。


もし誰かが割ったグラスをペンダントにしてほしいと言われても工数がかかりすぎてクレームになりかねないので、事業として厳しいのでやれないと思います。





こちらは粉砕したロックグラス。

こちらは作業中に激しく粉砕してしまったロックグラスの様子です。

派手に割れたグラスもとりあえず工房の棚に置いてあります。





上の割れたグラスを加工して小鉢を製作してみました。

そこで、上の割れたグラスの無事な部分だけを残し、新しく小鉢へとリメイクしてみました。

知り合いの方が異動で今居る地域を離れるということで、新しい門出を応援するために特別に製作した非売品です。





企業ロゴを底に刻印した特注のロックグラスが破損してしまい、せっかく底に刻印を入れたのにそのまま廃棄するのはもったいないので、加工することにしました。

切子グラスが派手に割れてしまった状態です。





割れた上の部分だけを取り除き、ミニコップみたいな状態にしてサービスで無償で依頼主の方にプラスでお送りいたしました。

割れた上部を綺麗に取り除き、可愛らしいミニコップへと仕上げてご依頼主様へお届けしました。

本当はこうやって割れたグラスを加工してユーザーに提供するサービスがあれば出来れば良いのですが、なかなか難しい状況です。




ペンダントや小鉢は作れませんが、さっきみたいに粉砕してバラバラになった場合、金継ぎ(きんつぎ)?という切子とは全く別の技術で修理する方法もあるようなので、調べてみるといいかもしれません。






まとめ

ユーザーとしては口元の欠けを直してくれたり、割れた切子や江戸切子を使って上のようなペンダントを作ってくれたり、器を作ってくれるサービスがあれば嬉しいことだと思います。



しかし、いかんせん採算が取れないのと、割ってしまうリスクがあるのでほとんどの工房は修理に応じていないという話でした。




切子工房箴光は、ソーダガラス製で比較的耐久性が高いので、ぜひご検討ください。
江戸切子全製品一覧






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