本文へスキップ

切子工房 箴光は、伝統的な江戸切子の技術を継承した独立切子士が製作する切子の工房です。

ショッピングカート

切子が割れたり欠けたりした時の事情

切子、江戸切子が割れたり欠けたりした時の職人事情

切子工房 箴光職人の気まぐれ日記>切子、江戸切子が割れたり欠けたりした時の職人事情

このページでは切子や、江戸切子が割れたり、欠けたりした時の職人事情について裏話的な感じのことをお話したいと思います。


私は年間1000個以上の切子をカットをします。
しかし、慣れているとはいえ、プロとして仕事をしてから毎年1個くらい作業中に切子を割っているような気がします。

口元が欠けるなどの軽微なものなら手直しをします。

私の場合だと口元を輪切りにしてすっぽり除去してかけた部分を取り除いて再利用とかします。(写真左)
クリスタルガラス、割れやすい
上の写真は知人のBARのマスターの依頼で右のグラスの口元のチップを取り除いてほしいということで、いつもと同じ作業をしたのですが、割れてしまった時の写真です。

同じガラスなので何の問題も無いと思って作業をしたのですが、グラスの構造の違いやソーダガラスとクリスタルガラスの素材の違いなどにより、状況は違ったようです。

右の割れてしまった何気ないグラスはマスターにとっては思い出の品だったそうで、マスターには本当に悪いことをしてしまい、自分を強く責めました。

これ以来、確実に直せる保証は無いので私は人からの修理を受けないことにしました。
(なお割れたグラスを加工して小皿にしてマスターに渡しました)



多分、色々な切子の工房を探しても口元が欠けた時の修理というのはどこもほとんどやっていないと思います。
修理をやっている工房は、リスクを負って善意でやってると考えられます。


修理をやらない理由は3点あります。
・依頼者にとっての思い出の品を絶対に破損させられない
・修理の工数もそれなりにかかるので、1から作った方が早い場合もある
・口元の欠けを直す専用の大型の機械が無い
あたりの理由があります。


思い出の品を絶対に破損させられない

ほとんどの工房が修理をやらない一番の理由が多分これです


何気ない普通のグラスでも、思い出と共にその人の手元に存在しています。

・還暦で退職した時に部下からもらったグラス
・部下が新しい世界に羽ばたく時にもらった節目のグラス
・これから何年も会えないことがわかっている相手からもらったグラス
・自分の子供がずっと愛用していたグラス

上の状況は逆の場合でもしかりです。


その特別な思い出は私たち切子職人には知りえません。
グラスがいくら普通のコップに見えたとしてもその裏にどういうストーリーが隠れているのか想像して、最大限の注意を払わないといけません。


なので、基本的には一度購入されて誰かの所有物になった切子や江戸切子には職人は手が出せないというような気持ちがあるのではないかと思います。

少なくとも私はそうです。

工数がそれなりにかかる

口元の欠けを直すのにも結構それなりに時間がかかります。

特に超大手以外の工房以外は口元を直す大型の機械を保有しておりませんので、工数はそれなりにかかります。


安価な切子や江戸切子の場合は1から作った方が早い場合もあります。

また、口元の一部を直すだけなのに安価な切子1個分の値段を請求されたら納得が行かない依頼者も出てくると予測されます。

「口元の一部分だけなのに、安価な切子1個分の値段なんておかしくない?」
というような感じです。

WINWINならぬ、LOSELOSEの状況が起こりやすいので、それだったら最初からやらない方がトラブルは起きないという考えに至ります。


口元を直す専用の大型の機械が無い

口元を直すには専用の大型の機械が存在します。
小型の機械があるかもわかりませんが、私は見たことはありません。

縦2m×横2m×奥行き4mくらいの大型の機械です。

私も修業時代にその機械があり、口元修理をその機械で師匠がやっていましたが、大きすぎて場所が無いのと、口元修理のリスクもあるから機械を廃棄することになって解体されました。

今でもその機械を保有している会社はかなりの超大手の工房だけだと思います。

その機械があれば比較的早く口元を直せて、仕上がりも綺麗です。


なので、その機械が無い工房はあまりやりたがらない傾向があると思います。
感覚的には縫い物をミシンでやるか手作業でやるかくらいの感覚です。




口元の欠けた場合、切子工房が修理を受け付けない理由の裏話的なところを3点紹介しました。
次は完全に割れた場合、切子職人的にはどうするか紹介します。

完全に割れた場合

高価格帯のものは完成まじかの最後らへんに割れる可能性の高い作業が私の場合は、入ります。
切子、江戸切子、割れた時、欠けた時
何時間もかけて作ってきて、最後あと10分で完成のところで割れました。
現時点でのぐいのみの一番高価な作品です。

私は普段温厚ですが、この何時間もかけて作ったものが完成まじかで割れた時だけ大声で叫びます。
叫ばないと正気を保てません。

体感ですが、スマホを水の中に落としてすべてのデータが消えたくらいのストレスがあります。

ちなみに防塵マスク(毒ガスを防ぐような声がこもるマスク)をしていて、防音の部屋で作業しているので、多分外には聞こえていないと思います。



ここまで粉砕すると直しようがありません。
この場合は危ないので捨てるのが基本です。

ただ、以前に粉砕したかけらを加工して私はペンダントを作りました。
切子、江戸切子、割れた時、欠けた時
しかし、製作にこれもまた多くの時間がかかるので、積極的には作ろうとは考えていません。

クラウドファンディングを社会勉強だと思ってやった時の特別なリターンとしてペンダントを出して以来製作していません。

まあいずれやるかもしれないということで、割れたかけらは捨てないで棚に一応おいてあります。

もし誰かが割ったグラスをペンダントにしてほしいと言われても工数がかかりすぎるのでやらないと思います。



こちらは粉砕したロックグラス。
切子、江戸切子、割れた時、欠けた時
派手に割れたグラスもとりあえず工房の棚に置いてあります。


上の割れたグラスを加工して小鉢を製作してみました。
切子、江戸切子、割れた時、欠けた時
知り合いの方が異動で今居る地域を離れるということで、新しい門出を応援するために特別に製作した非売品です。



まとめ
ユーザーとしては口元の欠けを直してくれたり、割れた切子や江戸切子を使って上のようなペンダントを作ってくれたり、器を作ってくれるサービスがあれば嬉しいことだと思います。

しかし、いかんせん採算が取れないのと、割ってしまうリスクがあるのでほとんどの工房は修理に応じていないという話でした。


それでは!

職人の気まぐれ日記」に戻る。

shop info店舗情報

切子工房 箴光

〒359-1128
埼玉県所沢市金山町11-11
E-mail:kirikoshinkou@yahoo.co.jp
インボイス制度登録事業者


お問い合わせのご返信について
・基本的には土日祝日をのぞく、8:00~17:00の時間にてご返信させて頂きます。
お客様にご心配をおかけする事項だと判断した場合は、上記時間帯以外でも取り急ぎ早急にご返信する場合もございます。

・公式ホームページ
・amazon
・ヤフーショッピング
・minne
・creema

でオンラインで販売しております。

普段使い慣れているショッピングサイトがあれば、そちらを利用頂いても構いません。

現在、関東圏内にも製品を出荷しているので、ショッピングモール等の店頭でも当工房の製品を購入できます。

支払方法
銀行振込とクレジットカード決済とコンビニ払いが可能です。
支払い方法の詳細は「」をご覧ください。

・クレジットカード決済
ご利用可能なクレジットカード
支払方法
お支払い方法は「一括払い」「リボ払い」「分割払い」からお選びできます。

・セキュリティコード(券面認証)について 「セキュリティコード」の入力が必要となります。カードの署名欄の隅に印字された3ケタ(または4ケタ)の数字となります。
支払方法2


・コンビニ払い
コンビニ払い可能、切子
全国の
・ローソン
・ファミリマート
・ミニストップ
・セイコーマート
でお支払い可能です。


切子工房 箴光のSNS
フォローして最新情報をチェック!
インスタグラムがメインで、フォロワーもそこそこ多いです。
インスタグラム
インスタグラムQRコード

ツイッター

フェイスブック