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切子工房 箴光は、伝統的な江戸切子の技術を継承した独立切子士が製作する切子の工房です。

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江戸切子教室の体験談

江戸切子教室の体験談

切子工房 箴光職人の気まぐれ日記>江戸切子教室の体験談

今回は私のアマチュア時代の江戸切子教室の体験談について話します。

このページでは1回の江戸切子体験をして「面白かったね」という話ではなく、「プロを目指して122回定期的に通った」という江戸切子教室に通ったお話になります。

最終的には江戸切子の工房の狭き門になんとか入ることが出来て、修行後に独立するという決断をして現在は切子の仕事1本で生計を立てています。

最初はインターネットで江戸切子教室のことを調べて、連絡を入れて日付を決めて見学ということでお伺いするということにしました。


仕事帰りにスーツ姿のままで江戸切子教室によって、説明を受けました。

1回のレッスン費用が3150円でそれとは別にガラスの生地の値段がかかるというものでした。

あとは注意事項などの説明を受けました。

当時のメモがエクセルに残っていたのでそのまま載せます。



~~~~~メモ開始~~~~~

ダイヤモンドのグラインダーは指で触っても大丈夫。(爪は削れる)

何が一番怖いかというとシャフトの回転に巻き込まれること。

衣類巻き込まれ、髪の毛巻き込まれに注意。


削り方(粗摺り)
真ん中→上→下→真ん中→離すを2回。


その時に来ていた別の生徒のカットの様子を見ながら少し削り方の説明を受けた。


30分くらい見学して、ごちゃごちゃ悩んでてもしょうがないのでお金を払って次回からやります、と言ってその日は帰った。


また別の日に本当の初回の日ということでレッスンが始まった。



江戸切子教室
最初にやったのは作業台を使ってぐいのみの表面に線を引いた。

うまくいかなくても照れずに何回も線をスチールウールで消して、他の人より何倍も線を引く練習をしたと思う。

基本的に体で覚える作業はいかに回数をこなすかだから、制限時間内で目いっぱい同じ作業をひたすら高速で行っていくしかない。


ペンは書く面に対して90度になるようにして書いてあげると綺麗に線がひける。
この写真の場合は、ペンを寝かせすぎなのでダメ。


江戸切子教室
結構線を引く練習をして本番に近い形で1つ試したがどうやら縦の線が苦手みたいだ。

横の線を引くのは割とうまい気がする。

この画像のように縦の線がぶれるのは、ペンを持つ手の力が鉄板に入りすぎてガクガクに動いているから。

なめらかな線を引くには鉄板に当てる手をソフトに当てていかないといけない。

むしろ、縦の線は底の中央から引くとか初めて聞いたからこれが初挑戦状態。

割り出しのペンを持つ力は割と強めでいい。

ペンを固定してあげる感じでないと、ろくろの回るパワーにペン先をもってかれてぶれる。

ろくろはゆっくり回すことを心がけること。

サッとまわすとぶれる。


残り1時間はトレースという作業。
江戸切子教室
元々掘ってある菊文様の部分にマーカーで色を塗って、その色が取れるまでグラインダーで削る作業。

色が取れればちゃんとうまく削れているということで、初心者を練習させるために色を塗っている。


カットするときは上から結構強めに押して削ってあげる。

結構強めにグラインダーに押し付けないと削り残しがでると感じた。

力は左右均等に入れないとグラスの削り残しができる。

初めて削った時はこんな感じになった。
江戸切子教室
葉っぱの左側に赤のマーカーが残りがちである。


先生いわく、ワンストロークでこの赤を全て落としきれるようにならないとダメだとのこと。

確かにワンストロークで正確に葉っぱの形を削ることを練習することで、最初のまっさらな状態の葉っぱをけずる練習になるはずだ。

赤の色をワンストロークで削れるようになってきたら、試験として目をつぶって削ってみたりした。

体で覚えていれば、目で見なくても赤のマーカーを削れるはずだ。


~~~~~メモ終了~~~~~


というような感じが第1回目です。

第1回目のスタートから色んなこと考えてやってたんだなぁという印象です。


どれくらい通っていたかというと概ね週1くらいのペースで4年通っていました。

1回の作業時間が2時間です。

仕事の関係で週1で通えないときもありましたが、記録としては以下のようになっています。
初級1 9回
初級2 9回
初級3 10回
中級1 9回
中級2 9回
創作1 8回
中級3 8回
中級4 10回
中級5 12回
中級6 8回
中級7 8回
中級8 8回
創作2 7回
創作3 7回
合計122回 作業時間244時間
レッスン費用 384,300円

これに加えてガラスの素材の費用もあるので、多分累計50万円くらいいってますね。
多くのコストと時間をかけてきました。



私はカットのスピードがめちゃくちゃ早いと講師の先生に驚かれていてこの回数なので、他の人の場合もっと回数がかかるかもしれません。

私自身もプロになるにはカットのスピードは意識しないといけないということでアマチュア時代からそこらへんは意識してやっていたので多分他の生徒の2倍くらいのスピードで削ってました。

講師の人も2倍くらい早いって言ってました。



年齢層は20代後半の私がかなり若い方だったと認識しております。

レッスンの値段もそれなりにしますので、20代前半の人はあまりいないように思えました。

大体40歳~50歳くらいの人が多いように思えました。

私も含めてみなさん男女共に仕事帰りにスーツ姿などで通ってらっしゃいました。

趣味でやっている人もいれば、私のように本格的に就職を目指してやっている人もなかなか多くいました。



どこかとは言いませんが、写真の様子や作業の仕方など同じ江戸切子教室に通っている人も今現在いるかと思います。

私が中級8になる頃には生徒の数も異常に増えていて予約が多すぎて週1では通えないかもみたいな状態になっていたので、良い時期に通えていたのはラッキーでした。


中級8のレベルの次が上級1というところでしたが、上級はプロの江戸切子職人を目指すコースだったので「プロを目指したいんですけど」と先生にいったところ、今度2名採用する予定があるので説明会に来てくださいという話を受けました。


以前にもその話は書きましたが、そこで32名の説明会の参加者がおり、書類選考で最終面接までに残った人は6名、その中に自分も入っていると面接の時に言われましたが受かりませんでした。


そこの工房の上級コースはそこの工房の職人として働くためのコースであるので、そこの工房の面接で落ちたということは必然的に上級コースを受けられないので実質「もううちには来ないで下さい」という状態になってしまいました。


講師の江戸切子職人の先生も自分が落ちたことを当然社内の話で聞いており、すごい気まずい感じで、追い出された感が漂う中で自分はそこの工房を去っていったのを覚えています。



帰り道で

「あれ、俺4年も頑張ってきたけど今後どうするんだろ」

と大海原にほっぽり出された感じがして目の前が真っ暗になりました。
希望を持って4年間、時間とコストをかけてきたのに、全てがはく奪された感覚です。


それから色んな工房に連絡してなんとか最後だと思って連絡した別の工房に受かったというのは前に話した通りです。


アマチュア時代の244時間のカットの作業時間は少ないと思う人もいると思いますが、プロの世界に入ってから体験したことですが、カットさせてもらえるかは上の人のさじ加減、気分次第です。


一番酷い時で3か月の間に1回1時間しかカットさせてもらえないときもあったので、244時間はとても貴重な練習の時間に匹敵します。


毎朝1時間早く出社して1時間削ったとしても1か月で20時間、1年で240時間なのでプロの世界に入ったから毎日2時間削れるとかそういうわけでは絶対に無いのでアマチュア時代の作業時間も大切な練習の時間とカウントした方が良いでしょう。


新入りはまずどこの工房も100%絶対削らせてもらえません。
練習も禁止されて練習させてもらえません。

まずは数年は誰でもできる江戸切子のスキルには関係ない雑務みたいなことをするかと思います。


私のアマチュア時代の話でした。

江戸切子職人を目指しているなら、「切子職人になるには?」と「江戸切子の修業時代の給料」のページも参考になると思います。



それでは!

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